ジェイオーコスメティックス様
「社員の意見を活かし、現場主導で進める女性活躍推進」|事例

ジェイオーコスメティックス 株式会社 様
ジェイオーコスメティックス 株式会社 様
							|ジェイオーコスメティックス様「社員の意見を活かし、現場主導で進める女性活躍推進」|事例_3
従業員数
:250名(2017年11月1日時点)
主要業務
:化粧品および医薬部外品のOEMメーカー。商品企画、開発研究、生産を手掛ける
キーワード
:現場主導
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総務部の畑野淳嗣課長に伺いました
総務部の畑野淳嗣
課長に伺いました

1987年の創業以来、化粧品OEM一筋で事業を展開するジェイオーコスメティックス。総務部の畑野淳嗣課長は、「社員の活躍イコール女性の活躍。会社が特別な施策をつくったというよりも、社員が意見を出し合い、働きやすい環境へと自ら変えていったと言った方が正しいですね」と話します。残業時間の削減といった目に見える効果だけでなく、社員の意識にも変化が表れているようです。

女性のライフスタイルに合わせた柔軟な対応

Q. “女性活躍推進”への取り組みを教えてください。
A. 当社の組織は、研究部門や品質管理部門、営業部門など11の部門で構成され、そのうち3部門のトップを女性社員が務めています。一般的に、管理職になることを躊躇してしまう女性が多いと聞きますが、実は当社にはまったく当てはまらず、自ら手を上げる女性が多いんです。つい最近も、子育て中の女性社員が昇進しました。

当社では必ず、管理職への登用に当たって管理職研修を受講させています。以前は当たり前のように合宿型の研修を行っていたのですが、例えば育児中の女性社員が合宿に参加するのは現実的ではありませんよね。そこで、ワーキングマザーでも受講しやすいように、2016年から日帰り研修と通信教育、読書感想文を組み合わせた新たな管理職研修を導入し、個人のライフスタイルに合わせて選択できる体制を整えました。この新しい制度を使って、早速4人の女性が管理職に昇進しています。これまで「子どもがいたら昇進できないのかな」と感じていた女性社員のモチベーションアップにもつながっています。
Q. 化粧品業界だけに、工場のラインで働く社員は女性の方が多いのではと想像しています。工場ならではの取り組みはありますか?
A. 仰るとおり、充填包装のラインは100%女性です。一方、製品の中身を作る製造部門は男性が中心で、私の入社当時は女性がほとんどいませんでした。その理由は大量の原料・製品を扱っているため重労働が多く、女性の力では対応できなかったからなんです。

そこで、女性でも作業に従事できるように、タンク昇降用の機械や重量物運搬車を導入するなどして軽量化を図りました。女性活躍の場が広がったのはもちろん、それまで重労働を強いられていた男性社員たちが腰を痛めることがなくなりましたので、男女問わずメリットを得ることができたということですね。女性が入ったことで、職場の雰囲気が明るくなったという変化も出てきました。
新しい管理職研修制度を利用する女性社員
新しい管理職研修制度を利用する女性社員

社員が率先し意識改革
意識が変われば残業は半減できる

Q. 一つ一つの取り組みが、女性だけでなく全社員が働きやすい職場づくりにつながっているのですね。
A. 化粧品を扱っていることもあり、当社はもともと女性社員の割合が65%と高く、社員の活躍と女性の活躍はイコールです。そのため、“女性活躍”を意識して何かに取り組んできたと言うよりは、自然と女性が活躍できる環境が整っていったと言った方が適切かもしれません。ただ、"女性"という視点で考えてみると、ワーキングマザーだからこそ実行できた取り組みもあります。

当社に限らず一般的にOEMメーカーは、突発的な仕事が発生することが多く、どうしても残業が多くなりがちな業界です。そのため、以前から事前残業申請制度を導入していましたが、なかなか目立った効果が表れず...。そこで、申請書の書式を変更し、残業事由と所要時間をより詳しく書いてもらい、実際の残業時間と差異があった場合にはオーバーした理由を書いてもらうようにしました。

書かれた理由を精査していったところ、残業には責任感や使命感、達成感のほか、出世や残業代、探求心、ワークライフバランスといった個人の思想が根底にあることがわかったんです。「だったら、残業に対する考え方を修正すればいいんだ」と気づいたのがワーキングマザーたちだったのです。電話の時間が長いなど、仕事の癖に気づかせてあげる、相手が若手だったら細かく面倒を見て、何度も繰り返し指示する。このように、ワーキングマザーたちが中心となって、メンバーのモチベーションを下げないよう、辛抱強く効果的なアプローチを取ってくれました。上司でもリーダーでもなく、メンバーの性格をよく把握し、変化にもよく気づくワーキングマザーだからこそ実行できたのだと思います。
Q. 成果はどうですか?
A. ワーキングマザーたちの取り組みに加え、女性上長が自ら定時で帰り、その状況でも責任のある仕事をこなして成果を上げる姿を見せたことも奏功し、今ではどうしたら早く帰れるだろうか、どうしたら皆が楽に仕事ができるだろうかと、社員一人ひとりが考えるようになりました。実行してから、研究部門では約30%の残業時間削減に成功し、品質管理部門に至っては半減という大きな効果が表れています。目に見える手法ではありませんが、経営者による残業削減の宣言やノー残業デーの実施では達成できなかったことが、ワーキングマザーたちのおかげで改善されました。
ワーキングマザーが中心となって残業削減に取り組んだ。左から井上さん、渡邉さん、長谷さん
ワーキングマザーが中心となって残業削減に取り組んだ。
左から井上さん、渡邉さん、長谷さん

意見を “言える” “聞く” 風土が生む働きやすさ

Q. お話を聞いていると、社員が率先して行動する風土が根付いていると感じます。
A. 当社は250人ほどの小さな会社ですが、埼玉に工場を構える他、都内でも本社と工場が離れているため、対面でコミュニケーションを取ることが難しいのが実情です。従業員がどんな不満を抱えていて、どんなアイデアを持っているのか、社員の思いを拾うため、2013年に各拠点に意見箱を設置しました。1カ月に5通ほどの投書がありますが、私たちが絶対に守っているのが、毎週意見を回収し、翌週までに回答を全社に周知すること。「投書しても仕方ない...」と思われては、意見なんてあがってこないし、行動に結びつきませんよね。また全社に周知することで、「あんなことを言ってもいいんだ」「ちゃんと考えてもらえるんだ」と全社員に認識してもらうこともできます。現場からの意見や提案にきちんと耳を傾け、改善すべきことは改善する。意見を言いやすい環境と積極的に聴く環境が、社員が自ら動く源泉になっているのではと考えています。

ちなみに、最初にお話した管理職研修の新しい制度も、「私、上に行きたいんですけど合宿に参加するのは難しいです」と、ある女性社員から上がった声をきっかけにできた制度なんです。意見を言ったり相談したりしやすい雰囲気があるのは、当社の特徴かもしれませんね。
Q. 意見を言いやすい社風が、職場環境の改善につながっているのですね。
A. 風通しのよい職場、コミュニケーションの取りやすい職場が何より大切だと思っています。先ほどもお伝えしたように、拠点が広がるに連れ、コミュニケーションは取りづらくなるものです。意見箱の設置だけでなく、同時期に社内報を創刊し、活躍する女性社員をクローズアップしたり、部署紹介の特集を組んだりと、社員が社員を取材し、編集に協力してもらうことでコミュニケーションの活性化や組織力の向上へつなげています。

当社はこれまで、社長の福田個人の推進力が大きかった面があるのですが、これからは一人の力では太刀打ちできないことが多々起こるでしょう。そのためにも、組織力は欠かせません。「組織全体で力を合わせて」という社長の思いを実践できるよう、今後も組織力の強化を図っていきます。
Q. 最後に今後の課題をお聞かせください。
A. ここ数年で中途社員の採用も始め、最近は近隣の主婦層からの応募が増えています。今後は、時短勤務や週3~4日勤務など、フルタイムでなくても正社員として働ける体制構築が必要になると考えています。今後訪れるであろう人材不足に対応するためにも、フレキシブルに働くことができる環境づくりに努めていかなければなりません。

今日このインタビューを受けて改めて、意見を言いやすい雰囲気が、女性の働きやすさにつながっているのだと気づきました。些細なことでも社員のアイデアや要望を拾うことで新たな意見が出てくる。それが良い環境をつくる。今後もこのサイクルをうまく回しながら、皆がより働きやすい環境を整えていきたいと思います。
本社に設置された意見箱。どんなに小さな意見にも目を通し、職場環境の改善につなげている
本社に設置された意見箱。どんなに小さな意見にも目を通し、職場環境の改善につなげている

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